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2017.11.30更新

 前回は、税務調査では、「課税の前提となる『事実』の認定に納得がいかない」場合がよく出てくると書きました。今回と次回は、事例を通じて、税務調査における「事実」認定の問題を考えてみます。税務調査での「事実」認定の問題がどういうものかをイメージしていただくのに役立つと思います。

* 仲谷栄一郎・井上康一・梅辻雅春・藍原滋『外国企業との取引と税務』219-304頁(商事法務、第5版、2013年)を参考にしました。

 

1. 架空の事例 ~「英文契約書→和訳→所得税法→源泉徴収」という理屈?~

 

(1) 英文契約書をみると ~”Software Royalty Payment”~

 

 日本の会社である貴社は、海外の関係先との間の継続的契約に基づいて、ある工業製品をこれまでずっと購入してきました。その工業製品には、ソフトウェアが組み込まれており、そのソフトウェアの著作権は、工業製品の購入元である海外の関係先が持っています。

 

 工業製品の単価は、ハードウェアだけの場合よりも、ソフトウェアが組み込まれている分、高くなっており、英文の契約書の別紙には、あたかも単価の内訳を示すように、以下のとおり書いてありました。

 

 Hardware: JPY XXX
 Software Royalty Payment: JPY YYY
 Total: JPY ZZZ

 

(2) 英文契約書を和訳すると@税務調査 ~「ソフトウェア使用料の支払い」~

 

 貴社が久しぶりに受けている税務調査の中で、調査官から「類似品と比べてこの工業製品の単価が高いような気がしますが、何か理由はあるのでしょうか」という質問を受けました。貴社の担当者は、調査官のいっている「類似品」が具体的に何を指しているのかはよく分からなかったものの、(また、「そんなのは税務調査と関係ないんじゃないかな」とちょっとだけ思ったものの、)「この工業製品には、ソフトウェアが組み込まれているので、その分だけ単価が高くついています。契約書の別紙にもそのように書いてあるみたいです」と説明しました。

 

 その後、税務調査は大きなトラブルもなく進んでいましたが、最終盤で、調査官から「工業製品の単価のうち、ソフトウェアの分だけ高くなっている部分は、ソフトウェアの『使用料』だから、源泉徴収をしなければならない」という指摘を受けました。調査官は、契約書の ”Software Royalty Payment: JPY YYY” という記載を示して、「ここに、『ソフトウェア使用料の支払い:YYY円』と書いてある」ともいっています。

 

(3) 所得税法をみると ~「『著作権の使用料』→源泉徴収!」~

 

 貴社がお世話になっている税理士の先生に確認したところ、確かに、次の「使用料」(所得税法161条1項11号)については源泉徴収をしなければならないとのことでした(同法212条1項)。

 

国内において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価
ハ [省略]

 

 貴社は、これまで支払ってきた工業製品の代金のうち、 ”Software Royalty Payment: JPY YYY” の部分に対応する源泉徴収分を納付しなければならないのでしょうか。

 

<後編につづく>

 

 当事務所では、国際的なあるいは複雑な取引がかかわる税務調査から、純粋な国内案件や小規模案件にかかわるものまで、様々なスケールや税目(例えば、所得税、法人税、相続・贈与税、印紙税及び関税)の税務調査に携わった経験のある弁護士がおります。そもそも弁護士を携わらせた方がいいかどうか、携わらせるとしてどのような方法がいいのか、費用はどうなるのかといったことから、初回のご相談を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

2017.11.16更新

1. 税務調査対応は大変 ~「納得がいかない」ともっと大変~

 

 企業や個人にとって、税務調査は大きな負担です。国税局や税務署からやってきた調査官に見せる資料を整理したり、調査官に取引の中身を説明したりするだけでも、税務調査に対応するのは大変です。税務調査の中で、調査官から納得のいかない指摘や要求があった場合や納得のいかない方向に話が進んでいると感じる場合には、なおさらです。

 

2. 「事実」の認定に納得がいかない

  ~「✖✖だから課税される!」「・・・(✖✖のところが違うよ。。。)」~

 

 税務調査に「納得がいかない」といっても、いろいろな場合があります。「課税の前提となる『事実』の認定に納得がいかない」場合もその1つです。「事実」の認定というのは、例えば、株主であり役員でもある方に会社から支払いをした場合、それは配当なのか、報酬なのか、それともそれ以外なのかというような問題です。「何を支払ったのか」によって税金が変わってくるところで、自分の認識ではAの支払いなのに、調査官からは「この支払いはBだ!だから、Bの支払いがあったことを前提に納税すべきだ!!」といわれ、納税者として「納得がいかない」と感じることはよくあると思います。このような課税の前提となる「事実」認定の問題は、税務調査のあらゆる場面で出てきます。特に、適切に資料を整理し、調査官に丹念に説明するのが難しい海外取引が絡む場合などには、納税者と調査官との間に見解の相違が出てきやすくなってしまいます。

 

3. 弁護士による税務調査対応 ~「✖✖ではなく、○○なんです!!」~

 

 税務調査の中で、課税されるかどうかの前提となる「事実」について、調査官に誤解がある場合、あるいは調査官の見解に納得がいかない場合、弁護士を税務調査に携わらせるのが有効なことがあります。調査官の誤解を解くのは簡単ではありませんし、常に解けるわけでもありませんが、契約書や取引の資料、日本の民法や商法、場合によっては国際私法や海外の法も踏まえて、丹念に取引内容を説明し、「事実」を分かってもらおうとしない限り、調査官の誤解が解けることはありえません。弁護士は、契約書や法令に基づいて取引内容を整理し説明するプロフェッショナルであり、税務調査の中での「事実」認定の場面でも有用な存在になれると思います。

 

 当事務所では、国際的なあるいは複雑な取引がかかわる税務調査から、純粋な国内案件や小規模案件にかかわるものまで、様々なスケールや税目(例えば、所得税、法人税、相続・贈与税、印紙税及び関税)の税務調査に携わった経験のある弁護士がおります。そもそも弁護士を携わらせた方がいいかどうか、携わらせるとしてどのような方法がいいのか、費用はどうなるのかといったことから、初回のご相談を行っております。ぜひお気軽にご相談ください。

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