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2021.02.06更新

最近、中国等海外から送られてきた貨物の輸入代行をした事業者様から、通関時に税関の指摘や質問を受けたが、どう対応すればよいかといった内容のご相談を受けることが増えています。
背景には、中国等海外の事業者が、Amazon等を利用して日本で商品を販売する中で、日本に商品の在庫を置いておきたいという需要が生まれており、その需要に応えるために輸入代行を用いたビジネススキームが活用されている状況があるようです(以下、中国等海外の事業者が日本に在庫を置く目的で輸入代行依頼を行い、輸入代行業者が、当該依頼を受けて、商品を日本に輸入した上で、輸入代行業者自身の倉庫で保管したり、AmazonのFBA倉庫等に納品したりするビジネスを「本件輸入代行ビジネス」といいます。)。
しかし、本件輸入代行ビジネスに従事して、輸入代行を行う事業者は気を付けなければならない留意点があります。本日は、そのうちの3つの留意点をご紹介します。

 

1 輸入者としての義務と責任を負うこと
一つ目の留意点は、輸入者代行業者は、輸入者としての義務と責任を負うことです。
本件輸入代行ビジネスでは、輸入代行業者は、誰かに商品の販売を行うわけではなく、単に輸入した貨物を自社倉庫で保管したり、指定された倉庫に納入したりするだけに過ぎないので、自身が輸入者になるという意識が希薄になりがちです。

 

しかし、一旦、自身が輸入者として貨物を輸入した場合、関税関係法令上は、輸入手続きに関する当事者として、適切な輸入申告を行う義務や、輸入申告に問題があった場合の法的責任を負う立場になります。

 

たとえ、輸入代行業者が、輸入代行の手数料として、わずかな報酬を得ているだけであっても、輸入者としての義務や責任は減免されることはありません。
例えば、輸入申告額が間違っていた場合は、法的には輸入者が不足税額や過少申告加算税等を支払う義務が生じますし、輸入禁制品が送られてきてしまった場合には輸入禁制品を輸入しようとしたということで、刑事罰を含めた法的な責任を問われる可能性があります。
輸入代行業者は、自身が輸入者になることの意味を理解する必要があります。

 

2 申告価格の把握が困難であること
二つ目の留意点は、輸入申告時に申告すべき申告価格の把握が困難であることです。
輸入者は、関税定率法に沿った申告価格で適切に輸入申告する必要がありますが、本件輸入代行ビジネスでは適切な申告価格の把握が困難な場合があります。
輸入申告時の申告価格は、輸入取引における商品価格をベースに計算することが原則的な方法です(関税定率法4条1項)。
しかし、本件輸入代行ビジネスの場合、多くの場合、具体的な注文に応える形で輸入するのではなく、日本の在庫として保管するために輸入することになります。その場合、原則的な計算方法は採用できず、関税定率法に基づく例外的な計算方法で輸入申告を計算する必要が生じます(関税定率法4条2項、同法4条の2から同法4条の4)。
したがって、この場合は、単に輸出者が作成したインボイス価格や、中国等海外での販売価格をベースに輸入申告をすると、税関から申告価格の誤りを指摘される可能性があります。

 

例外的な計算方法は、関税定率法にいくつか定めがありますが、現在、税関の実務では、本件輸入代行ビジネスのような場合、大まかに言って、国内販売価格からの逆算による方法、すなわち、国内販売価格から、日本で生じる経費と利潤を引いた金額を計算して輸入申告を求めることが多くなっているようです(関税定率法4条の3第1項)。

 

しかし、国内販売価格をベースに計算するとしても、ネット通販の場合、商品の売れ行きや需給に応じて金額が日々変化することも多いと思います。また、本件輸入代行ビジネスのような取引では、輸入代行業者の商流に対する関与が限定的なため、商品の販売までに日本で生じる経費や利潤の把握が難しい場合も少なくありません。

 

上記1に記載したとおり、輸入代行であっても輸入者としての責任を負うため、申告価格の把握を誤ると、不足税額や過少申告加算税等の追徴税を支払うことになったり、法的な責任を問われたりする事態が生じ得ます。

 

3 税関が引き締めを強めていること
最後の留意点は、税関が引き締めを強めている状況にあることです。
最近、税関が、本件輸入代行ビジネスのような輸入に注意を向けており、引き締めを強めている傾向にあることも、ビジネスに伴うリスクとして認識しておく必要があります。

 

本件輸入代行ビジネスのようなビジネスの方法は、取引全体の実体把握や課税価格の評価が難しくなることから、税関として厳しい目を向けている状況にあると考えられます。
特に、2021年に入ってから、当事務所には、本件輸入代行ビジネスを行っている事業者様から、税関から指摘や質問を受けたという内容の相談が相次いで寄せられており、これまでとは状況が変化しつつあることを実感しています。

 

4 小 括
当事務所が見聞きした限りでは、本件輸入代行ビジネスは、中国等海外の事業者からの需要があることは確かであり、その点で魅力のある事業です。しかし、輸入代行に伴うリスクやオペレーションの難しさがあり、上記1から3で述べたようなリスク等があることを理解する必要があります。ビジネスに伴うリスクを認識した上で、対応策を検討し、事業を展開していただく必要があります。

 

 

当事務所では、輸入申告方法の是非の判断業務、税関事後調査への対応業務、輸出入通関にともなう税関トラブルへのサポート業務を提供している他、輸出入に関するビジネスモデルの改善のご相談にも対応させていただいております。ご相談をご希望の場合は、電話又はメールにて、当事務所にお気軽にお問い合わせください。ご相談のお申込みはこちらから行うことも可能です。

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