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2015.07.21更新

本日も、従業員がうつ病や適応障害などのメンタル不調になった場合に会社としてどうすればよいか、ご説明します。

シリーズ第2回の今回は、そもそも私傷病とは何か、労災と私傷病の区別基準についてご説明します。

 

1.私傷病・労災とは

まず、労災とは、「労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡」や「通勤による負傷、疾病、障害又は死亡」のことを言います。

つまり、怪我や病気が会社の業務に起因するものであれば、それは労災ということになります。

これに対して、「私傷病」とは、法律上の定義は存在しないものの、通常は、業務に起因しない傷病を「私傷病」と呼ぶ(医療法人健進会事件・大阪地判平成24年4月13日)。

そして、私傷病であれば、通常は、会社の就業規則に従って私傷病休職に入り、休職期間満了までに復職できなければ、自動退職又は解雇になります。そして、私傷病休職中は無給扱いにしている会社が大多数です。

他方、労災であれば、原則として療養のための休業中は解雇ができず、休職中の従業員は国からの労災保険給付を受けることができます。さらに、従業員は、会社に対して、休職期間中の賃金を請求したり、慰謝料等の損害賠償請求をする余地も出ます。

このように、私傷病なのか労災なのかによって、大きな違いが出ますので、会社としては、その見極めが非常に重要になります。

ケースによっては、従業員との間で、うつ病などのメンタルヘルス不調が私傷病なのか労災なのかで争いが生じることもありますので、注意が必要です。

 

2.私傷病と労災を区別する基準について

労災かどうかを判断するための基準としては、厚労省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(平成23年12月26日基発1226第1号)があります。

この基準では、労災と認定するための要件を、以下のように定めています。

① 対象疾病となる精神障害を発病していること。
② 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
③ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

この中で最も重要なのが、②です。

 

②の詳細は、認定基準に記載されていますが、大まかに言えば、以下のような内容になっています。

(a) 認定基準別表1・1頁の「特別な出来事」がある場合
→心理的負荷の総合評価を「強」と判断する。

 

(b)「特別な出来事」がない場合

→以下のア~ウに従って判断する。

 対象疾病の発病前おおむね6か月間に起きた出来事の内容に応じて、認定基準別表1の「具体的な出来事」の一覧表に沿って判断する。

 出来事が複数ある場合には、以下の(ア)(イ)のような総合評価を行う。

(ア)いずれかの出来事が「強」の評価となる場合は、全体評価も「強」とする。
(イ)いずれの出来事でも単独では「強」の評価とならない場合には、まず、(i) 複数の出来事が関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事として評価する。具体的には、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(それ単独では「中」の評価)が生じた場合には、出来事の内容、程度により「強」又は「中」として全体を評価する 。次に、(ii) 複数の関連しない出来事が生じている場合には、出来事の数、各出来事の内容(心理的負荷の強弱)、各出来事の時間的な近接の程度を元に、その全体的な心理的負荷を評価する。具体的には、単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事が複数生じている場合には、全体評価は「中」又は「強」となる。また、「中」の出来事が一つあるほかには「弱」の出来事しかない場合には原則として全体評価も「中」であり、「弱」の出来事が複数生じている場合には原則として全体評価も「弱」となる。

 恒常的な長時間労働がある場合には、以下の(ア)(イ)(ウ)のような総合評価を行う。
(ア)具体的出来事の心理的負荷の強度が労働時間を加味せずに「中」程度と評価される場合であって、出来事の後に恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められる場合には、総合評価は「強」とする。
(イ)具体的出来事の心理的負荷の強度が労働時間を加味せずに「中」程度と評価される場合であって、出来事の前に恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められ、出来事後すぐに(出来事後おおむね10日以内に)発病に至っている場合、又は、出来事後すぐに発病には至っていないが事後対応に多大な労力を費しその後発病した場合、総合評価は「強」とする。
(ウ)具体的出来事の心理的負荷の強度が、労働時間を加味せずに「弱」程度と評価される場合であって、出来事の前及び後にそれぞれ恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)が認められる場合には、総合評価は「強」とする。

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